大人の絵本

大人のあなたに読んでほしい。 オススメ絵本。

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ごんぎつね/新美南吉

ごんぎつね

次の日も、その次の日もごんは、栗をひろっては、兵十の家へ  もって来てやりました。
作:新美南吉 絵:黒井健 出版社:偕成社 発行日:1986.9

いたずら好きの狐のごんは ある日、兵十の捕まえたうなぎを逃がしてしまいます。
その数日後、兵十の家でお葬式があり ごんは兵十のおっ母が亡くなったことを知ります。

新美南吉の名作「ごんぎつね」に黒井健が絵を添えました。




その晩、ごんは、穴の中で考えました。
兵十のおっ母は床についていて、うなぎが食べたいと言ったにちがいない。それで兵十がはりきり網を持ち出したんだ。
ところが、わしがいたずらをして、うなぎをとって来てしまった。
だから兵十は、おっ母にうなぎを食べさせることができなかった。
そのままおっ母は、死んじゃったにちがいない。ああ、うなぎが食べたい、うなぎが食べたいとおもいながら、死んだんだろう。
ちょッ、あんないたずらをしなけりゃよかった。


ごんは悔やみます。そして独りぼっちになった兵十にせめてもの償いのつもりで 毎日栗や松茸を届けます。

兵十は毎日届けられる送り物を不思議に思いました。
そして、独りになったわしへの神様からの贈り物なんだろう と考え神様にお礼を言います。それを聞いたごんは、届けてるのはわしなのになぁ と思いながもまた栗を届けるのでした。

ある日、兵十が縄を結っていると 裏口から家の中に入っていく狐の姿が見えました。それはいつかの うなぎを逃がしたいたずら狐でした。
「ようし。」
兵十は火縄銃を手に立ち上がります。そして…



ごんは倒れます。

土間には栗がまとめて置いてありました。

火縄銃からのぼる煙が もう戻せないことなんだと 淡々と 語ります。


理屈なしで、ただ切なくなる絵本です。

報われない、伝わらなかった、救われなかった。

でも、伝えたかった。償いたかった。

ごんの無念な気持ちと兵十のやるせない後悔の念が

ひしひしと伝わってきます。


絵本にでてくる文章は、原作のごんぎつね全文ではなく抜粋した形になっています。表現も少し現代風に変更してあります。
しかし原作の雰囲気が120%表現されているのはやはり黒井健の絵の効果だと思います。文章ではなく絵が主人公の絵本です。


ごんぎつねは国語の教科書に採用されていたので知ってる人も多いと思います。

ただ、教科書に載っていたということは 教材としてのごんぎつねしか知らない方も多いのではないでしょうか。

Q:ごんの心が変化したのはどこからですか?
Q:その時 とはどの時ですか?
Q:この中で慣用句を答えなさい。
Q:火縄銃の青い煙は何を意味しているでしょう?

こんなつまらない問いかけをして、子供達がほんとうに物語から感じ取るべき大切なものを 遮って 分からなくさせている。

そう問うようマニュアルに強要されている先生達。
その問いに対して的確な答えを求められている子供達。

その時 子供にとって「物語」はただの「文章」でしかない。

なんてくだらない教育なんだろう。

正しい答えなんてないのに。

国語の教材にはすばらしい作品がたくさん採用されているのにもかかわらず、
人々の記憶に残るものは少ない というのも、

日本のこんな教育方針が原因かもしれません。

とても勿体無い気がします。

絵本は、物語は、頭ではなく心で感じ取るものだと

私は思います。


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100万回生きたねこ/佐野陽子

100万回生きたねこ

100万年も しなない ねこが いました。
100万回も しんで 100万回も いきたのです。

作・絵:佐野陽子 出版社:講談社 発行日:1977.10

自分が一番大事だったねこが見つけた、自分より大切なもの。
初版以降いまだにベストセラーになっている名作絵本です。

100万人の 人が、そのねこを かわいがり
100万人の 人が、そのねこが しんだとき なきました。
ねこは、1回も なきませんでした。


ねこは、ある時は王さまの、ある時はサーカスの手品つかいの、またある時は年老いたおばあさんのねこでした。
ねこは、王さまも 手品つかいも おばあさんも大嫌いでした。
ねこが死ぬ度に飼い主は泣いて悲しみます。しかし ねこは死ぬのなんか平気でした。
なんとも可愛げがなく、傲慢でふてぶてしいねこです。




あるとき、ねこは のらねこになり、初めて自分の為のねこになります。
どんなめすねこも ねこのおよめさんになりたがりましたが、たった1匹だけ、ねこに見向きもしない 白い美しいねこがいました。
ねこは自分に振り向かない白いねこに惹かれます。

「おれは100万回もしんだんだぜ!」と自慢しても 白いねこは
「そう。」と答えるだけ。
宙返りしてみせてもそっけない態度は変わりません。
ある日ねこは「おれは100万回も…」というのをやめて、代わりに
「そばに いても いいかい。」とたずねます。白いねこは、
「ええ。」と答えました。
そうして 自分が一番好きだったねこに、自分より好きで大切なものができます。
どの飼い主との人生にも執着しなかったねこが、白いねことは 一緒にいつまでも生きていたい と思いました。

ある日、白いねこは、ねこの となりで、しずかに うごかなく なっていました。
ねこは、はじめて なきました。
夜になって、朝になって、また 夜になって、朝になって、ねこは 100万回も なきました。


0001.jpg

白いねこがしんだ時のねこの絵がとても印象的です。
動かなくなった白いねこを抱えたまま泣いている姿を見ると
涙がでてきます。

やがてねこは泣きやみ そして動かなくなります。
白いねこの隣で しずかに。

そしてもう決して 生きかえることはありませんでした。

短い文章ですが、考えさせられる事が沢山ある絵本です。

生きることの喜びを知らないねこは、死ぬことも悲しくなかった。
愛することを知らないねこは 悲しみというものを知らなかったから。
しかし 白いねこを失って初めて 愛するものを失う悲しみを知り泣くのです。

初めて自分のためのねこになり、初めて自分から誰かを愛したねこは
初めて 本当に生きていたのだろう。
だから もう 生まれ変わる必要はなかったのかな。

大切なのは どれだけ愛されてるかではなく、どれだけ愛しているか。
自分の心が、どれだけそう感じているか。
漠然とした感覚でしかないけど、この絵本を読んでそんな事を思いました。

ぜひ1度読んでみてください。
そして 何か感じるものがあったなら、あなたの大切な人にも
読んであげてほしいと思います。



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Alice's Adventures in Wonderland -不思議の国のアリス- /ロバート・サブダ

Alice's Adventures in Wonderland

大人も夢中になるロバート・サブダのポップアップ絵本
作:ロバート・サブダ 出版社:Simon & Schuster Childrens Books 発行日:2003.11 原作:ルイス・キャロル

こんなの見たことがない!
ポップアップ絵本とは、いわゆる飛び出す絵本のことですが、サブダの作り出すポップアップは絵本の常識をくつがえします。仕掛け絵本でここまで出来るのか!と感心してしまいます。




ロバート・サブダのポップアップ絵本はかなり大きく、厚さも結構あります。それだけ沢山の仕掛けが詰め込まれているのです。
ページ数は12ページと少な目ですが、1ページの中に何箇所も仕掛けがあり
ただ開いて閉じる作業だけでなく、仕掛けを探したりまた動かしたりして楽しむことができます。

20060319211642.jpg

写真を見ても分かると思いますが、かなり仕掛けが大きい&入り組んでます。本を開いた瞬間に飛び出る絵本の世界。引っ張ったり伸ばしたりすると動くキャラクター達。こんなステキな絵本に出会ったら子供じゃなくたってワクワクしますよね。こんなに精巧で大掛かりな仕掛けが、本を閉じた時に まるで手品のようにきれいに折たたまり ページとページの間に消えていくのもまた感動します。
どうしたらこんなポップアップが作れるのか想像も出来ません。

絵本のイラストは原作の「不思議の国のアリス」で使用されたジョン・テニエルの挿絵そっくりです。
ディズニーのアリスのイラストに慣れてる方には少し可愛げが無いと感じられるかもしれませんが、私はジョン・テニエルのイラストの方がシュールで好きです。
ALICE25A.png



この本は本屋さんで見かけて知りました。
その大きさと厚さで目に留まり何気なく開いてみてびっくり!!
すごーい!すごーい!と心の中で叫びながら読みました。
「読んだ」というより「見た」というんでしょうか(;^_^ A
絵本の物語は英語で書かれていますので。
それでも絵があるから問題ありません。ただ見るだけでも十分楽しめます。(負け惜しみ!?笑)
高価な絵本でしたので購入は断念しました(涙)
しかしこの金額を出すだけの価値はあると思います。
また、プレゼントにしても喜ばれる絵本なのではないでしょうか。
こんなステキな絵本をプレゼントしたらきっと大喜びされますよ♪

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木を植えた男/ジャン・ジオノ

木を植えた男

すぐれた人格者のおこないは、長い年月をかけて見定めて、
はじめてそれと知らされるもの。

作:ジャン・ジオノ 絵フレデリック・バック 訳:寺岡 襄 出版社:あすなろ書房 発行日1989.12

物静かな老人の姿を通じて人間の不屈の精神、心の寛大さ、たゆまない情熱を描いた絵本です。19世紀始めのフランス、ブロヴァンス地方の誰も足を踏み入れないような荒れた山脈が物語の舞台です。
どこまで行っても荒地と廃墟ばかりの地で、若者は一人の羊飼いの男に出会います。




廃墟で困り果てた若者に男は水と食料を分け、その夜の宿を提供しました。翌朝羊を放牧地へ連れ出したあと、男は奇妙なことを始めます。手にした鉄の棒を地面に突き立て穴を開け、その中に水にひたしたどんぐりを一つ一つ埋め込んでは土をかぶせているのです。
かれはカシワの木を植えていたのだ。
この荒れ果てた地に!
この不思議な男に興味を持った若者は、後をついていくことにしました…。

「あなたの土地ですか?」と聞くと
「いいや、違う」とかれはこたえた。
「だれのものだか知らないが、そんなことはどうでもいさ」と、
ただかれは、ていねいに、100粒のどんぐりを植えこんでいった。



それから5年経ち、第一次世界大戦が始まり世界中で恐ろしいことが起きている間も
かれは木を植え続けた。

やがてかれが植えた10万個の種のうち2万個が芽を出し、さらにその半分が成木となった。これを見つけた森林監視員は、この「自然の森」を視察し理屈を並べなにやら対策を決めた。
森が伐採され燃料の為の木炭にされてる間も、何十キロも離れた土地で       かれは木を植え続けた…。


男は挫折も味わった。神様は崇高な精神に更に試練を与えようというのか。
何万個もの種が全滅し、1本も芽が出ない年もあった。

しかし男は、それでも翌年また種を植えるのだった。

名もない老いた農夫が なんの報酬も見返りも求めず
ただひたすら荒れた大地に命を吹き込んでいる姿が心に刺さります。

自分はどうなのだろうか。

無償で尽くし与えることが出来るのだろうか。
傷つけられても許し 包み込むことが出来るのだろうか。
それはとても難しく 私は利己的な感情に振り回されてばかりです。

たった一人で その肉体と精神をぎりぎりに切り詰め
荒れ果てた地を 幸いの地としてよみがえらせた
かれを思うとき わたしはやはり、
人間のすばらしさをたたえずにはいられない。



やがて彼が育てた森の近くに村が再興され、畑や井戸ができすばらしい家々が建ちます。
人々は陽気に笑い、村には明るく華やかな空気が溢れています。

しかし人々は その幸せを、あの物静かな男に感謝しなくてはならぬはず。

安全な社会、豊かな暮らし、豊富な資源、自由な生き方や思想…
自分で手にしたかのように見えるその幸せは
誰かが苦労して困難を乗り越え作り上げた土台の上に成り立っているのです。

そのことを忘れずに
今の幸せを大事にしていきたいです。


テーマ:オススメ本 - ジャンル:小説・文学

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